エニアグラム関連書籍の紹介
エニアグラム関連の本が多くあります。
どれを購入したら良いのか迷っている方へ、いくつかの本を比較しながら紹介します。
ちなみにエニアグラム関連の本は、全体的に、日本人が書いた本よりアメリカ人の本の方が質が良いです。なので、今回紹介するのは、それらの邦訳本の比較です。
・エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ 基礎編 (海外シリーズ)
日本で出版されている本の中では理論的にもっとも充実していて、説明がわかりやすいです。
少し真剣にエニアグラムを勉強したくなったら読むのがいいと思います。
ただし、日本語版では英語版と比べていくらか内容が省略されています。その省略された内容を、「基礎編」の次の「上級編」として出す予定だったらしいですが、一向に出る気配がありません。
(なお、省略された内容については、英語版のUnderstanding the Enneagram: The Practical Guide to Personality Types の7章~11章に書かれており、読みたい方はそちらを読むといいでしょう。かなり大事な部分が省略されていることがわかります。kindleで買えます)
なんにせよ、ある程度きちんとエニアグラムについて知りたい方におすすめです。
・性格のタイプ―自己発見のためのエニアグラム
これには初版と改訂版があり、改訂版の紹介です。
他のレビュアーの方も言っていますが、各段階(発達のレベル1~9)ごとのタイプの説明がもっとも詳しいです。各タイプの特徴を詳しく知りたい方は買うと良いと思います。
なお、現在では改訂版の値段が高すぎる(アマゾンで70000円以上のため、近くの大きな図書館等に行って借りて読むと良いです。ちなみに初版の方は、上で紹介した「エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ 基礎編」と大差ないです)
・エニアグラム(9つの性格分析)で相手の「性格」が怖いほど見える!
この本の特に良いところは、各タイプの「人づきあいにおける相性や付き合い方」が書かれているところです。恋愛関係や仕事関係(権力関係)における各タイプの関係について、かなり比重を置いて、しかもわかりやすく書かれています(なんと、一冊の約半分である160ページが人間関係について書かれています。ちなみに、ネット上「各タイプの相性」について書かれているものは、この書籍が元になっているものが多いです)。かなり各タイプの関係について詳しく、かつわかりやすいので、その辺を求める方におすすめです。
・エニアグラムでパートナー探し
この本は、タイトルではパートナー探しとありますが、恋人探しな説明においては上記の「エニアグラム(9つの性格分析)で相手の「性格」が怖いほど見える!」の方が良いです。
しかし、この本では「本能のサブタイプ」ごとの各タイプの説明をしており、それがこの本の良いところです。これは他の本で説明されていることがほとんどありません。
詳しく言うと、本能のサブタイプ、つまり「自己保存」「対人」「社会」ごとの各タイプの特徴を説明していて、
たとえば、タイプ3なら以下のように説明されています。
>自己保存型のタイプ3ー「安全」を重視
・経済的安定が私にとってもっとも重要だ
・体の調子がよく、健康をたもつことが必要だ
・、、、、、、、、、、、、、、(以下特徴が箇条書き)
>対人関係型のタイプ3ー「安全」を重視
・私はカリスマ性、成功、性的魅力、力強さによって異性に印象付けようとする
・魅力的に見せる術をマスターしている
・、、、、、、、、、、、、、、(以下特徴が箇条書き)
>社会型のタイプ3ー「安全」を重視
・私はエネルギッシュで、有能で、意思の強い指導者だ。私は人々が良い仕事をし、問題を賢明に解決するよう導き、聴衆の注目を集め続ける。
・、、、、、、、、、、、、、、(以下特徴が箇条書き)
なので、各タイプの本能のサブタイプごとの特徴を知りたい人には良いと思います。
ただし、それぞれのタイプについてサブタイプごとの説明はちょろっとしか書かれていない(各タイプ2ページずつくらい)ので、図書館で借りて読むくらいがちょうどいいと思います。
・新 エニアグラム
この本では各タイプごとに色々な方のインタビューがのっており、各タイプの感じ方が生き生きとわかります。また、特に素晴らしいのは「直感スタイル」という項目の説明です。各タイプの感じ方を「直感スタイル」として紹介しています。
(<例>タイプ1の直感スタイル:タイプ1はあらゆる状況が完璧な事を、「しっくりくる」という皮膚感覚で知る。完全に正しい解決策に出会ったタイプ1は楽になり、体がリラックスして感じられる。その感覚を言葉にするなら「なんて完璧なんだろう」となる。、、、以下略)
ですので、各タイプの生き生きとした感じ方や、タイプごとの体験談を知りたい方におすすめです。
なお、私が知っている限り「直感スタイル」として各タイプの感じ方を説明しているのはこの本だけです。
・エニアグラム入門―性格の9つのタイプ The enneagram
キリスト教的な観点からエニアグラムが紹介されており、それが面白いです。
この本特有の面白い部分は三つあります。
一つは、各タイプの時間の感じ方や、動物のたとえが、イラストつきで説明されていること。特に、時間の感じ方は、説明がどくとくで面白いし、「なるほど」という感じです。
もう一つは、友人からそのタイプを助けるにはどうすれば良いかという説明。
もう一つは、各タイプが「統合時にどのセンターに行くか」、また「分裂時にどのセンターに行くか」を「慰め」と「荒み」と表現していて、その時の感じ方について書かれている部分です。
これがなぜ有益かというと、各タイプのそれぞれの統合時の感覚ではなく、「統合するセンターがどこか」で共通する感覚がある、と主張していることです。逆についてもしかりで、「分裂するセンターが同じ」であれば「共通する感覚がある」と述べていて、それが本書でいう「荒み」です。
例えば、統合すると本能センターに至るタイプ4,5,6は、統合の方向に行くと、「神の愛に燃え立つような、全身が焼き尽くされるように感じます」と書いてあります(おそらく本能センターの感覚を得るということでしょうが)。
また、分裂タイプが感情センターであるタイプ1,4,6は、分裂の方向に行くと、感情センターの荒みである「焦燥感や(自己や他者に対する)嫌悪感」を感じる とあります。
他の本にはこのような観点の説明はあまりないので、有意義だと思います。