物語論
アニメ映画「時をかける少女」のシナリオの骨格分析を試みたい。前記事では、主に日本の昔話等のパターンである「出会いと別れ」「見えの共有(共視)」の視点から分析した。今回は主に、物語が対称的に展開するという『裏返し構造』の視点から分析する。 裏返…
時をかける少女 アニメ映画の時をかける少女は、コミカルでありながら切ない美しさを描いた、アニメ映画の最高峰の一つだと思う。そのシナリオを少しでも理解するために、シナリオ分析をしてみよう。 手掛かりになるのは、「出会いと別れ」と「見えの共有(共…
物語の舞台を現代日本のまちにする際、まちの中で非日常との接点をどう持たせるかを考えている。今回、居住地である札幌から広島に旅行して、色々と得ることがあったので書き記す。舞台背景としての非日常の扉について。 非日常と日常が交差するまち 今回、…
以前、こちらの記事で『連続体』という日本文化において好まれる価値観について書きました。連続体というのは、『個体を超えた連続的なもの』『区切られていないこと』『限界のないこと』などを指します。たとえば物語のモチーフとして『継承』が好まれたり…
折り返し構造(裏返し構造)と呼ばれる、物語の構造について説明します。折り返し構造(裏返し構造)とは、平たく言うと、前半と後半が逆になる物語構造のことです。この構造は、聖書・昔話・ジブリアニメなど、様々な物語に見出されます。 話の順序としては、先…
他者との関係性とあなたの物語 少年漫画あるいは少女漫画では、他者との関係上の課題を、自分にあてはめるかのような考え方がしばしば見られる。例えば、少年漫画なら、敵に勝利しなければならない。そのために、まず、自分に勝利しなければならないのだ。恐…
この文章では、日本語を話す人のイメージ(連続体というイメージ)に基づいた、物語や言葉の好みについて論じます。 意思の継承 真実に向かおうとする意志そうだな…わたしは「結果」だけを求めてはいない。(略)大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思…
物語では、主人公たちは小さな勝利と敗北を繰り返す。 では何をもって勝利や敗北とみなすのか? それを決めているのが、人がそもそも何を勝利や敗北とみなすかで、そこには性差がある。男性か女性かによって、何を勝利や敗北とみなすかが大きく異なるのだ。
物語では、何かが確かなことになる。その理由を示し、納得させるのが物語だ。 例えば進研ゼミの小漫画(こどもの頃によく送られてきたやつ)では、いつもストーリーが同じだ。進研ゼミをやることで、成績が向上し、部活や恋もうまくいき、自分の人生を良い方…
物語では問題を解決するために、何からのゲームや遊びをする。そして見ている側が物語を楽しめるかどうかは、見ている側がそこで行われている「遊び」が魅力的に思えるかにかかっている。さらにいうと、魅力的なだけでなく、「遊び」に共感できるかどうかに…
物語では「全は一、一は全」となるように設計しないと、その話に対してあまり満足感がない。満足感というより納得感かもしれない。『「全は一、一は全」となるように設計する』とは、単純にいえば主人公の成功が周りの成功にもつながる、ということだ。この…